昔から病院が嫌い。
健康診断も嫌い。
病は気からと言う。
だから、たとえ病気になっても自力で治す力が人間にはあると信じている。
大病じゃなければだけど。
風邪位なら薬局の薬で済ます。
最近の寒波で調子が悪い気がしないでもないが、スルーしている。
私は健康体のはずだからだ。
昔、一度だけインフルエンザにかかったときは耐えきれず病院に行ったことがある。
あの時ばかりは医学の進歩に感謝せざるおえなかった。
たった一本の注射で回復するすごさは、今思うと怖いかも。
「アンチヴァイラル」の注射は、治癒目的じゃないというところに独特さを感じる。
あらすじは...
著名人本人から採取された病気のウイルスが商品として取引され、それをマニアが購入しては体内に注射する近未来。注射技師シド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、持ち出した希少なウイルスを闇市場で売りさばきつつ、自身も究極の美女ハンナ(サラ・ガトン)のウイルスを投与していた。そんなある日、ハンナが謎の病気で急死したのを機に、異様な幻覚症状に襲われる。未知のウイルスの宿主でもあるからなのか、何者かに追われるようにもなったシド。休むことなく続く幻覚と追撃に疲弊する中、彼は自分を取り巻く陰謀の存在に気付く。
鬼才デヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグ監督作品。
クローネンバーグの息子の作品だとは知らずに借りた私のホラー感知力を褒めたい。(他に褒めてくれる人がいないので)
なんだか異質な香りがしたんです。
こりゃ、当たりだ。
有名人に少しでも近づきたいというファン心理。
同化を求めてウィルスを投与するマニア心。
その欲求の先には何があるのか。
危うさと脆さが溢れる緊張感に見入っていく。
真っ白な潔癖。
白を基調にした世界観に真っ赤な危険が侵入する。
憧れの人に少しでも近づこうとするファン心理。
その純粋な興味が気持ち悪い。
今流行っているものまねメイク(芸能人に似せるメイクのこと)もこれと同質だと考えると怖い。
決して同じにはなれないけれど、近づきたい。
手に入らないものだからこそ触れてみたい。
そのウィルスは、そんなファン心理を満たしてくれる媚薬のよう。
やはり、そこには大きな代償が付きまとう。
偏った激しい欲求は、いつだって邪悪で汚らわしい。
幻覚から崩壊へ一直線。
ただそれだけ。
そのストレートさが潔い。
淡々と破滅に向かう。
この独特さは合わない人の方が多いだろう。
が、私は好きだ。
特に主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの幸薄感が素晴らしい。
彼ありきのヴァイラル。
真っ白な肌にちりばめられたソバカス。
長髪の金髪に憂いを帯びた瞳。
神経質な脆さが最初から強烈な存在感を与えている。
最初から最後まで何かをやらかすと確信できるくらいの危うさがいい。
父親からのDNA感染。
鬼才の息子にクローネンバーグの原点を感じずにはいられない。
最初からこのセンス、この発想。
さて、次作はどうするだろうか。
本当の意味での感染は次で発症する気がする。
ちぶ~的清潔度5
お父ちゃんと比べて申し訳ないが、お父ちゃんよりきれいなものに執着がある気がする。グロなシーンにも清潔感がある。親子でもやはり趣味嗜好は違うのですね。