私は人に恵まれていると思う。
私みたいな凡人は周りにいない。
皆、何かその人自身にしかないものを持っている。
だから、誰に会っても刺激を受ける。
尊敬するし、見習いたいと思う。
うらやましいと思うし、憧れる。
そんな人たちに囲まれていると、下降していくことはない。
それってとてもありがたい。
「反撥」にも感発した。
もし、自分が映画監督ならこんな映画を創りたい。
解説......
イギリスで働くポーランド人の姉妹キャロルとヘレン。姉のヘレンが活動的な性格なのに対し、妹のキャロルは内気な女性だった。姉とその恋人との情事の音を毎晩のように聞かされていたキャロルは、次第に男性恐怖症に陥っていく。そしてその一方で、男との官能を妄想するようになる。やがてその幻想は、彼女に殺人を犯させるまでになっていく……。男性恐怖症の女性が、狂気にむしばまれていく様を描いたサイコ・スリラー。
またまたロマン・ポランスキーの初期作品を見る。
カトリーヌ・ドヌーヴの内に秘めた演技がとにかく怖い。
男性恐怖症に反撥した心。
割れていく自我。
太鼓の音が鳴るように、ズガズガと容赦なく心を壊していく。
女の欲求は本能。
止められない浸食。
私はこんなに美しい狂気を見たことがない。
反撥と言えば、反抗期がすぐ思いつく。
親に言われたことにいちいち言い返したい。
受け入れたくない。
自分をどこまでも通したくて。
この反撥は似ているけど少し違う。
自分自身が全く気付けていない反撥。
拒否する一方で欲する。
矛盾が荒んでいく。
目に映る自分。
他人に映る自分。
どれも違う。
やかんに映る自分。
やかんに映る歪んだ自分にふと納得する。
窓から見えるシスター。
遠くから眺める自分。
近いと思っていたのに遠い。
距離感が分からない。
自分の場所が分からない。
怯える美しくて若い女。
汚いものを嫌い、清潔を好む。
その鉄則は、最後まで失わない。
血が飛ぶ。
腕が転がる。
手が誘う。
それなのに。
女はどこまでも美しい。
怖ろしくて、悍ましいのに。
決して失わない潔癖の美しさ。
理由も分からない狂気。
グレイの世界の中に迷い込んだ自分という名の人。
女は女であることに反撥した。
女には男が必要であるということに反撥した。
嫌悪が生み出した狂気。
閉じ込めても閉じ込めても絶対に鍵をかけられない箱を、女は持っている。
ちぶ~的カトリーヌ度5
おばちゃんになってからのカトリーヌしか知らない私の世代には驚きの美しさ。清楚さを兼ね備えた静かなる危うさはさすがです!