ホラー映画さえあれば!

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闇の中の灯油「水の中のナイフ」

暗闇に浮かぶ一人の男。

 

何かを持っている。

 

赤い何か。

 

と、思ったらガソリンスタンドへ入る男。

 

どうやら灯油を買いに来たらしい。

 

灯油缶を夜に徒歩で運んでいる人を初めて見た。

 

どう見ても放火犯にしか見えない。

 

きっと家が近所なんでしょう。

 

でも......

 

怖いで。

 

 

 

「水の中のナイフ」も決定的な出来事があるわけじゃないのに、なんだか怖い。

「水の中のナイフ」

解説....
鬼才ロマン・ポランスキー監督の名を世界に知らしめた長編処女作。ヒッチハイカーの青年と、旅先で知り合った裕福な中年夫婦との屈折した関係を描いた人間ドラマ。

 

 
巨匠ロマン・ポランスキーの長編処女作をやっと見た。
 
ツタヤの発掘良品コーナーは相変わらず素晴らしい。
 
若さが創りだした鋭さがここにはある。
 
登場人物は3人。
 
海の上での密室。
 
嫉妬とプライドが渦巻く。
 
静かなる脅威がじわじわと迫る。

 

 

 
女の嫉妬は当たり前のように怖ろしくて見えにくい。
 
そして、美しく狡猾だ。
 
男の嫉妬は露骨で陰湿。
 
単純で浅はか。
 
中年夫婦の前に現れた一人の青年がその"嫉妬"でバランスを崩していく人間関係。
 
競い合いように会話していく男たち。
 
それを傍観する女。
 
自分にはないものをもっている相手に対抗心をむき出しにする。
 
地位やお金、安定した生活を持っている中年男と、身軽で自由気ままに生きている若者。(そしてイケメン)
 
本当は、互いが互いのモノを欲しがっている。
 
自分には到底手に入らないモノだからこそ。
 
と、同時にプライドがそれを認めさせない。
 
本音を精一杯のかっこつけで隠す。
 
今にも爆発しそうな嫉妬の怒りをずっと蓄積していく。
 
漂う緊張感。
 
男にも嫉妬がある。
 
女の嫉妬と似ているようで違う。
 
どこか子供っぽくて、無邪気。
 
そして、男は男に勝ちたい生き物なんだと知る。
 
 
最後の最後にタイトルの"水の中のナイフ”が突き刺さる。
 
鋭さを冷たい水の中に隠し持つ。
 
心の奥に潜んでいるナイフは、水の中に浮かんでいるように不安定だ。
 
奇妙な三角関係が生み出した男と男と男と女。
 
人間という生き物は、単純なのに複雑。
 
分かるようで分からないその真意。
 
むき出しではないナイフ。
 
ナイフは水の中なのだ。
 
その意味を考えれば考えるほど深い気がしてくる。
 
あのかわいいワニの浮き輪ですら、何か意味があったのではないかと疑ってしまうくらいに。

 

 

ちぶ~的チャランポランスキー度0

驚いたことに最近の傾向とは全く違う鋭さがある。これが長編処女作とは思えないくらいの張り巡らされた心理戦。チャンランポランスキーと悪口を言ってたことを謝りたい。