ホラー映画で一番怖い演出。
同じセリフとしぐさを繰り返される。
壊れたラジオみたいに不気味でビビる。
ある女と一緒の仕事をしている人から聞いた怪異談。
さっきまで自分がしてたであろう仕事を突然忘れるらしい。
毎回初めて聞いたような反応をする。
同じことを何回も聞く。
本当は、本人が一番知っているはずのことでさえもだ。
本気で忘れるらしい。
あまりにも繰り返すので今は怖がられている。
病気なのかただのバカなのか。
どちらにせよフォローする方は大変。
夏は怖くていいかもしんない。
「怪異談 生きてゐる小平次」もひんやりする怖さ。
解説.....
旅役者の小平次が愛憎のもつれから、囃子方の太九郎に殺される。しかし彼が家に帰ると、死んだはずの小平次がそこに居た。太九郎は狂乱していき、女房のおちかは愛想をつかしてしまう。鈴木泉三郎の新歌舞伎の映画化作品で、登場人物を3人に絞った作劇が話題になった。中川信夫監督の遺作。
中川氏の渾身の遺作。
死に近づいていた男が最後に映し出したもの。
登場人物が本当に3人しかいない世界。
男と女と男と。
愛が情が交錯する。
歌舞伎で魅せる言葉が舞う。
どこか寂しげでひんやりする。
せせらぎが聞こえ、縁側で団扇を仰ぐ美女の後姿がピッタリ。
夏の始まりに見る傑作怪談映画。
人生は物語。
人間は男と女の2種類。
2つで1つ。
一生求め合い、決して完全体になることはない運命。
愛の先には愛だけではない。
愛からは憎悪も失望も生まれる。
人間は、どんな選択をしても後悔が付き纏う欲張りで愚かな生き物。
愛を探し求める人間。
ただ死に向かう人生の中に、愛があるからこそ歩める道。
歌舞伎で表現される歌とセリフ。
大袈裟ではない美しい動作と歌声。
その語りは儚くて脆い。
いつ壊れるか分からない命のように繊細。
この世で一番怖いのはやはり人間。
人が人を殺す。
それは自分で自分を殺すのと同じ。
人間は死なない。
実体は死んでも想いは消えない。
心と魂は浮遊する。
留まることを知らない。
生きている。
それは愛と情があった証。
ちぶ~的出る出る度5
死んでも想いを遂げようと化けて出る男。お化けストーカーは恐怖も切なさも倍増なり。