それは違うんじゃなかろうか。
求めてばかりでは何も生まれない。
それは恋ではなくてただの自己愛。
ちゃんと自分を見ればいいのに。
自分を分かっていない人が誰かを愛せるわけがない。
大人になるということは、ただ時が流れることだけじゃない。
中身もそれにともなって変わることを言うのだ。
蓁から漢に至る時代。盗賊に捕えられたシャオウェイ(ジョウ・シュン)を助け出した将軍のワン・シェン(チェン・クン)。身寄りがないシャオウェイを妖魔とも知らず、ワン・シェンとその妻ペイロン(ヴィッキー・チャオ)は一緒に暮らすことに。一方ワン・シェンに一目ぼれしてしまったシャオウェイは、妖術を駆使しワン・シェンの心を奪おうと画策するが……。
中国に古くから伝わる怪異譚(たん)を起源とする清代の小説を映像化。
美女の形をした妖魔と人間。
それを巡る愛。
本当の愛とはなんなのか。
女性なら見習わないといけない献身的な愛。
男性なら気を付けなければならない魅惑。
地味ながらもシンプルなストーリーに魅了される恐ろしくも切ないラブロマンス。
妖魔の美しさは中国三千年の歴史の賜物か。
演じたシャオウェイ(ジョウ・シュン)が美しすぎて女の私でも見とれる。
美女は美女でも庶民的で女の鏡ともいえる美しい心を持った妻ペイロン(ヴィッキー・チャオ)には度肝を抜かされる。
この二人の美女の静かなる男の取り合い。
それぞれのまったく違うアプローチが楽しい。
美しさですべてを手に入れようとするシャオウェイの愛は、独占欲のかたまり。
きっと奪うことはできるけど、手に入れることはできない皮だけの愛。
共感しなければならないペイロンの愛は、実は私には到底理解できない。
まるで神様のような無償の愛に虫唾が走る。
こんな女がいるから私みたいな女の居場所がなくなるのだ。
正解だけど、憎たらしい。
が、これが究極の愛ってやつだろう。
思いやりの最上級。
愛はこんなにも美しいのだろうか。
そこはファンタジーとして受け入れるしかない。
いつもながら男という生き物は隣に美人がいたら心を奪われる。
そうでなければ男ではないとも言える。
たまに寄り道はするけど、帰る場所はいつも同じ。
心地いい愛があるからこそ、寄り道ができるのだ。
ちょっとメロドラマっぽくて大河ドラマっぽい。
静かすぎてなんだか怖い女のバトルは新鮮で面白い。
予想外に胸キュンしたりほろりと泣いてしまったり。
全体的に地味でチープな感じもするけど、レトロな世界観を堪能できる。
愛というシンプルなメッセージ。
無償だから愛なのだ。
でも...
やっぱり。
愚かでも一度でもいいから絶大なる美貌を手に入れて世界を征服する方を選択したいですね。
ちぶ~的美女度5
目の保養にはもってこいの作品。戦いのシーンは中国らしい魅せ場もある。男女ともに楽しめるのではないだろうか。