お盆休みの関係で、今日も授業がありました。
6日連続での授業はさすがにきつい。
朝の記憶がありません。
授業中もウトウトで。
帰ってから、映画見てる途中で撃沈するほど。
土曜だというだけで気が滅入るのに、天気はまるで熱帯だったし。
「エッセンシャル・キリング」のような壮大な空虚感がハンパない一日でした。
あらすじは...
アフガニスタンの荒野を一人さまよっていたムハンマド(ヴィンセント・ギャロ)は、アメリカ軍に捕らえられる。激しい尋問を受けた後、別の場所へ移送中に事故に遭い、その混乱に乗じて彼は逃げ出す。民間人を殺し、車を奪い、雪に閉ざされた深い森をやみくもに逃げ続けるムハンマドは、やがて森の中に一軒の家を見つける。
ポーランドの監督ってどうしてこんな映画が作れるんだろう。
ポーランドっていう国がそうさせるのか。
アンジェイ・ズラウスキー監督とはまた違うが、本質は似ている気がする。
これも人間の本能。
強烈な生きることへの執着。
美しい冬の自然の風景と音、ギャロだけで見せる。
余計なものは、何もない。
見方を間違えると、相当眠い映画になるのだが....
あやふやにされている解釈をどう捉えるかで、1点にも100点にもなる。
ポーランド人監督の作品は、常にその裏を見るべし。
その後ろに秘められたものは、想像を絶するに違いない。
ギャロは、アラブ人のテロリスト。
劇中一言も話さない。
うめき声だけ。
音と表情だけで、訴えかけてくる。
冒頭は、あのアルカーイダのウサーマ・ビン・ラーディンに見えた。
イスラーム過激派のような思想を持ってテロを起こしたのではないかと。
しかし、そのあと脱走して行くあてもなく逃げていく。
その風貌は、まるでイエス・キリストのよう。
ビン・ラーディンとイエス・キリスト。
正反対のようで同じということか。
すべての人間は罪人であり、生きるということは何かを犠牲にしなければならない。
それは、必要不可欠なこと。(エッセンシャル・キリングの意味は、欠くべからざる)
その罪を背負いながらも、生きていかなければならないのだ。
最後の方に出てくる耳の聞こえない女性(エマニュエル・セニエ )が印象的。
あの無償の愛は、聖母マリアの象徴ともとれる。
アダムとイブのようにも見える。
人間の完全系は男女ということで。
ずっと緊張感があって重い雰囲気の中、緊張の糸が途切れた瞬間....
それは、母乳を飲むためには太ったおばちゃんにむしゃぶりつくシーン。
正直、気絶したおばちゃんの自意識過剰さに笑ってしまいました....(不謹慎)
あれを、演じたギャロもおばちゃんもすごい。
どういう心持で演じるんだ!
わき役であんなことされたくないわ.....
目的も何を考えているのかもわからないギャロさんに、イラつく人もいるかもしれません。
っていうか、この人自体そういう人ですがね。
しかし、人間の死に際なんてあんなもんじゃないでしょうか。
飲まず食わずで、思考もストップ。
元々、偏った思想を持っている人に穏やかな心が1ミクロも生まれるはずがありません。
あの切羽詰まった感じ、まさに人間の愚かさですね。
迫真の演技で全編魅せてくれたギャロさん。
今までなんとなく嫌いだったが、この作品でやられた。
やっぱり変人と天才はイコールな気がする。
死の淵をさまよっている人間が最後に思うことはなんでしょう。
やっぱり愛する人だったりするんでしょうか。
それとも、どうでもいいことだったりして。
今の私ならこうです。
「もっと映画見ておけばよかった」って。
ちぶ~的絶景度5
美しい雪と染まる血。紅白は、よく考えたらめでたくない組み合わせです。