『悪魔っぽくない悪魔。』
狂った映画が多いアンジェイ・ズラウスキー監督。
123年間他国に支配され、影響下に置かれたという歴史があるポーランドの出身だからなのか、政治批判・社会批判の作品も多くみられる。
この作品もまさにソレだ。
普通に話せそうな人物はどこにもいない(笑)
皆、どこか狂っている。
人間のフリした悪魔の方がまともに見えてくる。
世界は、狂っている。
戦争も人間が創りあげた悪行の顛末だ。
本当に怖いのは何か。
つくづくアンジェイ・ズラウスキー監督は、パッションを映画にぶつけてきた熱い男なのだと思った。
疑心暗鬼。
一度誰かを疑うとすべてが狂っていく。
善人であれば善人であるほど、狂気は簡単に発火する。
信じていたもの、信じたいものをすべて奪われた時、人間は悪魔に変わるのかもしれない。
どうしようもならない、どうしようもできない行き場のない怒り。
壊すことでしか自分を保つことができないという恐怖。
2時間近くあるので、見終わったころには一体何を見ていたのかが分からなくなるほどの疲労感。
この映画、よく70年代につくれたな...
と、感心してしまうくらいの衝撃的な内容。
当時、この映画が上映禁止になったのは納得がいく。
そこらへんのホラーよりよっぽど怖いんですもの。
一番凄いと思うのは、この作風がアンジェイ・ズラウスキー監督作品すべてに通じているということ。
どの作品を見てもどこかに狂気が必ず散りばめられているのは、監督が生涯見る者に訴えたかった信念がずっとあったからでしょう。
私もこういう人になりたい。
曲げない女。
あ、もう別の意味ではすでになってるかもしんない(笑)
ちぶ~的悪魔度3
小さい悪魔。ただの小おっさん。後半はなんだかうざくなってきたけど、あの庶民的な感じは余計に不気味。
本日紹介した映画は...
悪魔 (1972)
THE DEVIL/DIABEL
- 監督 アンジェイ・ズラウスキー
- あらすじは...
- 十八世紀末のポーランド。陰謀の罪で精神病院に入れられていたヤクプは、悪魔の手助けによって脱走する。彼は社会の荒廃した姿に衝撃を受け、悪魔に渡されたカミソリで家族や人間たちを次々に殺していく……。
- (Yahoo!映画より引用)