自由がないと息がつまる。
自由にやりたいのに自分の価値観を押し付けられると逃げたくなる。
私の好きにさせてよ!
と、叫びたくなる。
最近、そんな衝動に駆られることが多い。
だから、絶対に自分は誰かを束縛しようとはしない。
「undo “アンドゥー”」は、きっとその逆だ。
空虚を埋めたくて縛るという行為に走る。
岩井俊二監督が描いた奇妙な愛の物語は、かなりシュールである。
ポジティブなイメージしかない山口智子がどんどんこわ~くなるだけでも見る価値はある。
この人の透明感をネガティブに変換するとこうなるとは...
相変わらず気持ち悪さが同居するトヨエツとのコンビが意外にも相性がいい。
なんでも縛りたくなる妻、萌実。
妻の変化に振り回される夫、由起夫。
ちょっとしたきっかけでそれは起きる。
でも、きっとそれは偶然ではなく必然。
恋愛でいう束縛とこの縛るという行為はつながっているように思う。
縛ることで愛を表現し、縛られることで愛を感じる。
縛ることも縛られることも苦しいのに...
そのリスクを背負ってまで愛を確認をしたいのだ。
目に見えないものは、確証がない。
だかこらそ、愛を気持ち悪いくらいに求めたくなるのか。
女にとっては、それがすべてだったから。
男にとっては、それがすべてではなかったから。
異質な世界と奇妙な感覚から、実はストレートな愛の物語が見える。
きっと男と女では見方が全く変わる。
45分でこの重さ。
映画はやっぱり長さではなく質なんですね。
ちぶ~的ヘビー度5
山口智子が暗い。それを逆手にとった狂いっぷりは見ごたえあり。シュールすぎるこの重さはかなり人を選ぶでしょう。