『こんなカッコイイ一人ぼっちは見たことがない。』
最近、老人映画が多い。
それは、この高齢化社会が進む中で老いに対しての恐怖が表れているからだと思う。
ラッキーのように、独り身で一人暮らしで老後生活を送っている高齢者は多い。
勝手なイメージでそんな人たちに対して、不幸な人というイメージを抱いてしまうのは、こういう映画が少ないからではないか。
映画のキャッチコピーにもなっている、"孤独と一人は同じじゃない”という言葉の重み...
そう、一人で生活していても、人間は絶対にひとりぼっちではないのだ。
これは思うに、終活をしない終活の話である。
本来、終活とは死に向かっていく上で葬儀や墓、遺言や遺産相続などを健康なうちにしておくこと。
でも、ラッキー(ハリー・ディーン・スタントン)は死に近づいていることに気づきながらも今までの自分のスタイルは一切崩さない。
死んだ後の心配も今の健康の心配すらしない。
むしろ、それに立ち向かっていく。
それができるのは、きちんと今まで他人を愛し、他人に愛されてきたからだ。
何気ない挨拶や、他愛のない話、くだらないジョークだって自分が重ねてきた信頼だ。
それって、すごくカッコイイ。
年を取って、一人ぼっちになってしまったとただ嘆いているだけの愚かな年寄りではない。
そうなることを知っておきながら、それでも一人を選び自分らしく生きてきたラッキーの姿に勇気をもらえる。
誰だって死ぬのは怖い。
孤独は寂しい。
ラッキーを演じたハリー・ディーン・スタントンは、それをセリフではなく自分の生き様で教えてくれる。
演技なのか、彼自身なのか分からなかった。
さすが、名優!という名演技にヤラれました。
脇役で友人役で出演していたデヴィッド・リンチもかなりの変わり者なじぃさん役でしたが、リクガメで表現した死生観には妙に感動してしまいましたね!
こんなに幸せな気持ちになれる老人映画はなかなかない!
老後に不安を抱いている人には必見です。
とにかく...
今を生きろ!ですね。
ちぶ~的終活度5
こんなカッコイイじぃさんは日本にいるのだろうか。仲間たちとの会話もシャレてるんですよね。私もこういう年の取り方をしたいですね~。
ラッキー (2017)
LUCKY
- 監督 ジョン・キャロル・リンチ
- あらすじは...
- 90歳の無神論者ラッキー(ハリー・ディーン・スタントン)は、いつものように一人暮らしのアパートで目を覚まし、コーヒー片手にタバコを吸っていた。なじみのバーではカクテルを飲み、常連客たちと変わらぬ時間を過ごす。ある日、彼はふと人生の終えんが近いことを実感し、死について思いを巡らせる。
(Yahoo!映画より引用)