ホラー映画さえあれば!

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ボーダーライン「エレファント・マン」


作品情報




健常者と障害者。


この二つを分けるボーダーラインとは何か。


そもそも健常者と障害者という言い方は何だ。


分けるしかないことと分けれないことがある。


いや、もう言っているうちに分からなくなる。


東北地方太平洋沖地震が起きてからそのモヤモヤは濃くなった気がする。


チャリティやボランティアは善行と言っていいことなのか。


最終的には自己満足になっているのではないか。



正直、「エレファント・マン」を見て余計考えてしまった。



デヴィット・リンチは狡い男だ。


そして賢い。


彼が作る映画にある屈折した憎悪と悪意は正直だ。


アカデミー賞8部門ノミネート。


そんな宣伝文句が私に見るまで長い時間を与えたわけだが...


素直に感動したと言える人はピュア。


素晴らしきヒューマニズムではない。


少なくとも私は、到底そうは思えない。


我々人間の道徳、人情の基準そのものを狂わせる。


まさに、曲者である。




実在した人物、ジョゼフ・メリックがモデル。(劇中ではジョン・メリック)


生まれつきの奇形のせいで醜悪な外見。


だけど、心は天使のように美しい。


....


どうしてですか。


なぜ、見た目が醜いと心は綺麗なのですか。


大抵、こういう化け物扱いされている人間は心は優しいとか純粋とかそういう夢を持たせる。


現実はきっと違うだろう。


容易に想像できるではないか。


生まれてきたこの世界を憎んでる方がよっぽど人間らしい。


だってきれいごとじゃ生きられないから。


どうしてもこの設定にリンチの策略を感じてしまう。


泣かずにはいられない。


だけど、泣いた後に思うのだ。


これは偏見なのか同情なのか。


それとも...


そうなることですらリンチの思う壺のような気がして怖くなる。




もし、自分の子供だったら。


と、女だったら思うだろう。


もし、自分だったら。


と、男は思うのかもしれない。


好奇心という悪魔は貪欲で容赦がない。


どこまでもそれを満たそうと追いかける。


ジョン・メリックに対するどの人物の眼差しも私はピュアとは言えないと思う。


差別しないなんてことは簡単に言えて行動にできたとしても本物だとは言い切れない。


戸惑い、同情し、どこか自分で損得勘定をしてしまっているのではないか。


正解があるとしたら、あのアンソニー・ホプキンスのラストの眼差しなのだろう。


人間の本当の醜さは外見では分からない。


だけど、それでも自分なりの精一杯の愛情を与えようとする。


正解も不正解も分からないけれど、何もしないよりはマシ。


観て見ぬふりよりは見て行動を起こすこと。


そっちの方がまっすぐで濁りのない善意よりも、屈折し濁っているけどそれでも自分なりの善意を与えようともがき苦しむ方が説得力がある。


そして、この作品の本質はそこだったのではないかと思う。


と、最後までリンチに翻弄されるのだから本当に悔しい。









ちぶ~的ノー文芸度5もみじもみじもみじもみじもみじ

これは、文芸映画でも芸術映画でもない。人間の映画。みた後もずっと考えてしまう...


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