風邪をひいているわけでもないのに、声がしゃがれる。
きっと吹雪の中を歩くからだろうか。
そして、家では焼けるくらいストーブを焚いてしまうからだろうか。
思い当たることが多すぎてわからない。
カラッカラに枯れているのは確かだ。
まだまだ終わりそうもない冬。
綺麗な花が咲くまであと、どれくらいだろうか。
「シャニダールの花」のように、とりあえず私に咲かなければいいです。
あらすじは...
レアなケースだが女性の肌に植物の芽が出現し、この世のものとは思えないきれいな花が開花するという奇妙な現象が起きていた。満開時の花びらの持つ特殊な成分に目を留めた製薬会社は、探し出した花の提供者を「シャニダール」という特別な施設に集める。そこで働く研究者の大瀧(綾野剛)と新人の響子(黒木華)は、提供者たちのケアにあたる。
女の肌に花が咲く。
理由も目的も分からない。
唐突に始まり、意味不明に終わる物語。
一体、これは何なのか。
最後まで見ても掴むことはできない。
すべてが不思議。
いいとか悪いとかそういう評価すら意味がないと思わせる徹底ぶりが独特。
限りなく無色無音に近づけた映像が続く。
それが狙いかもしれないが、大抵の人は冒頭で一度眠りに落ちるだろう。
そして、なぜかテーブルにおでこをぶつけるだろう。
説明がないまま女に咲く花に惹かれる。
その花の横で二人の愛が育まれていく。
ヒロインを演じるのは、黒木華。
華なのに、華がない。
色男風の綾野剛がなぜこのヒロインに魅了されていくのかがよく分からない。
これでいいのかと思っていたが、後半に向けて少しずつ理解の当てがついた。
人が人に惹かれることに明確な理由はそもそもない。
遺伝子がそうされるのか。
フェロモンが呼び寄せるのか。
相手の瞳に飲み込まれ、すべてを委ねたいと思う。
その怖ろしいとも思える求愛は、きっと本能なのだろう。
自分自身でも気づかない何かが心に愛をつくるのだ。
シャニダールの花とは、一体何か。
それは、きっと人の心に巣食う嫉妬や、執着に似ている。
その芽が満開に咲く。
まるでそれらから解放されたかのように。
花はずっと咲き続けることはできない。
人の心のように移り変わるものだから。
行き過ぎた愛が破滅を導くように、花もいつかは枯れ生命力を失う。
と、自分なりに解釈してみたが今でもやっぱり分からない。
この分からない感覚が好きか嫌いかは大きく分かれるだろう。
花が人間に咲くという発想。
考えたこともなかったこの題材は、興味深い。
ホラー調なら「悪魔の植物人間」 がありますけどね。
リアル路線で珍しいという感覚を楽しみたい人で、眠気に勝てるぐらいの元気がある人にはオススメ。
かな
おまけ
ちぶ~的綾野剛ってどう?度5
珍しくいい人風な役。だけどちょっとオーバーな演技に自己陶酔が見える。この人がなんでそんなにモテるのかいまだに分からない。ヘビ顔って褒めてないよね!?