毎日、将来のことを考えていると気が狂いそうになる。
仕事はどうしようとか。
死ぬまで一人だったらどうしようとか。
今できることは想像はつくのに、なかなか実行できなかったり。
要は、怠け者なんだろうけど。
一応、不安にはなるらしくたま~に怖ろしい夢を見る。
無職になっちゃって一人ぼっちになっちゃって住む場所もなくなっちゃって。
で、死のうとしたところで目が覚める。
現実じゃなくて本当によかったと安心する反面、もし現実になってしまったら自分はどうするのかとまた悩む。
でも、結局疲れるから明日死ぬかもしれないと思って人生を楽しむしかないと開き直る。
その繰り返し。
.......おっかねっ。
「リアル~完全なる首長竜の日~」も心の混乱が映し出す黒沢清監督のSF映画。
あらすじは...
自殺未遂が原因で1年も眠り続ける幼なじみである恋人・淳美(綾瀬はるか)を救い出すため、浩市(佐藤健)は昏睡(こんすい)状態の患者と意思の疎通が可能となる先端医療・センシングを受けることに。センシングを繰り返し淳美の潜在意識に接触していくうちに、浩市は不思議な光景を見始めることになる。現実と仮想の境界が崩壊していく中、浩市は淳美と幼少時代を過ごした島へと足を運ぶ。
邦画ホラー映画の巨匠のひとりである黒沢清監督。
今回はSF路線。
今をときめく若手俳優が二人。
そこですでに私的に嫌な予感。
しかも壮大な傑作を謳ったような予告。
みんなが混乱する。
見るものすべての人も混乱する。
これは好きか嫌いか大きく分かれる作品ではなかろうか。
まず。
広末涼子と不倫するくらいの色男が一年も眠り続けた女を待つものかと疑いの目を向けまくり。
常に清純派の枠を超えようとしない女にはまったく同情できないとため息を出しすぎて酸欠になりそうになる。
そんな先入観を越えられるものを、私はこの二人から見つけることがなかった。
そのせいなのかなんなのか。
とにかく女医演じる中谷美紀の女優オーラがすさまじすぎて釘付け。
主演二人は前フリだったのかもしれない。
中谷様のすべてを喰いつくす女優魂。
ここまでくるとギャグ化。
最後まで色々疑ってしまった。
でも、オモロくて素敵である。
全体的に色んなバランスがチグハグ。
明らかに万人受けではないこの作品を映画祭に出品している。
度胸がすごい。
そこは、私も見習おうと思う。
潜在意識に現れるホラーな部分は好きだ。
そもそもこの発想は嫌いじゃない。
それなのに、思ったよりもハマれなかったのは危うさが足りなかったからからだろうか。
中盤でオチが容易に予想がついてしまったのも原因かもしれない。
何よりも、怖がればいいのか悲しめばいいのか。
感情の置き所まで混乱させられると、何がしたいのか分からなくてオロオロ。
後半に明かされていく秘密も、その時にはもう冷めている。
それでも竜の迫力はすごかったような...
でも、私はウトウト...
お、いらっしゃいましたね、くらいで流してしまった。
やっぱり期待しすぎはいけない。
そして、好みというのは厄介だ。
逃げ場にもなり得る陳腐な恋愛も私は興味がなかった。
私はホラー界にいる黒沢清らしさを求めてたんだ。
求めていたものとは明らかに違った作風。
みなさんが意外に高評価だったのに楽しめなくて罪悪感。
でも、それがリアル。
あたしゃ~おっかねっ!て、もっと思いたい人なんですわ。
ちぶ~的完全なる苛立ち度5
綾瀬はるか演じる淳美のイライラに腹が立つ。人に話しかけられたら目を合わせて話しなさいって親から教わらなかったのだろうか。