最近の趣味は映画館のハシゴだ。
一日に3本新作映画を劇場で見る快感。
その疲労すら映画の余韻の一部になる。
一人で映画館に行くなんて...
と哀れむ人がいる。
映画館ってデートの道具じゃない。
そもそもそんな考えがナンセンス。
映画って"世界"を見てる。
崇高なものなんだから。
と、久しぶりに吠えてみる。(あ、いつもか。)
なんせ、「許されざる者」を見た後だから気が立っているのです。
あらすじは......
1880年、開拓が進む江戸幕府崩壊後の北海道。人里離れた土地で子どもたちとひっそりと暮らす釜田十兵衛(渡辺謙)だが、その正体は徳川幕府の命を受けて志士たちを惨殺して回った刺客であった。幕末の京都で人斬(き)りとして名をとどろかせるも、幕府崩壊を機に各地を転々と流れ歩くようになり、五稜郭を舞台にした箱館戦争終結を境に新政府の追手をかわして失踪。それから10年あまり、十兵衛に刀を捨てさせる決意をさせた妻には先立たれ、経済的に困窮する日々を送っていた。そこから抜け出そうと、再び刀を手にする彼だが……。
クリント・イーストウッドが監督と主演を務め、アカデミー賞作品賞などに輝いた西部劇を日本を舞台にリメイク。
オリジナルは見ていない。
西部劇が苦手なこともあり、敬遠していた。
そのせいもあるかもしれない。
あるということにしておく。
今や世界の渡辺謙になった謙さんが立ち上がる。
重鎮は渋く果てしない雪の向こうへ。
........が、見終わった後も分からない。
超大作、超傑作を掲げた代償。
「許されざる者」
それはどうしても許されんことを指す。
困った。
冒頭から私は遭難した。
まだ、秋田は雪が降っていないのに。
この冒頭は、佐藤浩市演じる警察署長の大石から始まる。
バカみたいなヒゲと洋風のファッションを身にまといながら。
森のくまさんに遭遇したらという小話をし始める。
..........
意味がわからない。
人斬り十兵衛(渡辺謙)。
相棒の金吾(柄本明)。
3人で雑魚を殺しに行く。
なぜか雑魚を。
この時点で明らかに雑魚より標的が大石であるべきなのに。
そして...
行くって言ってみたり、行かないって言ってみたり。
やるって言ってみたり、やらないって言ってみたり。
侍魂は、どこだ。
ここは平成か。
皆が放浪。
行き場は曇り。
漂うのを通り越してただ流れてく。
理由は特にない。
大切なものも特にない。
ただ、時代に取り残されて....
という苦悩にしかなっていないイラ立ち。
それなのに。
同じ列のおばちゃんが、カサカサカサカサとかなりの時間音を立てながら飲食しやがる。
ただでさえ、イライラしてるのにさらに加速した。
もう少しでお盆を投げつけるところだったじゃないか。
ラストサムライ的な見せ場も少ないから消化不良。
胃酸が出過ぎてキリキリする。
謙さんはそんなに斬り斬りしない。
せっかく在日の李相日監督なのに。
その行き場のない複雑なグレーをもっと繊細に描いてほしかった。
これでは武士の名が泣く。
皆が分からない。
一体、どうしたいのか。
失いたくないものは何だったのか。
革命に伴う犠牲は反発する。
そこから生まれる疑念と報われない正義。
文化の混じり合いは、いつも互いに破壊しながら再生していく。
望んだ未来はなんだったのだろう。
真っ白な雪にまみれたラスト。
気が遠くなるくらい壮大な地は、自分の姿すら見えなくなる謎の領域だったのです。
ちぶ~的アイヌ度5
意外とアイヌのことを知らない。もしかしたら、そこら辺の歴史を知っていればもっと違う視点で観れたのかもしれない。あと、謙さんは好きです。新作映画をこんなにディスってすみません....という謝罪を込めてフォロー。