昔は、テレビデオでよく映画を見た。
ビデオテープはとてもかさばる。
チャリでレンタル屋に借りに行ってたけれど、7本くらい一気に毎回借りるので篭いっぱいになる。
返す時は巻き戻して返さなければならない。
それが面倒くさかったんだけど、今思い出すとそれですら懐かしい思い出だ。
ビデオはDVDには出すことができない味がある。
ホラー映画なんて特に、ビデオはあるけれどDVD化はされていない作品ってたくさんある。
ビデオが完全に廃るなんてことはやめてほしい。
貞子だってビデオがなくなったら困るのだから。
「ベニーズ・ビデオ」は、そのビデオの良さが恐怖につながっていた。
絶望映画の名手であるミヒャエル・ハネケ監督作品。
これは、映画なのか?
と、疑うくらいにリアルな演出。
こんな事件ありそうだと思わせるところも、とても気持ち悪い。
肝心なところは見せない。
だからこそ想像で創られる恐怖。
またしても、ハネケは私を絶望させたのである。
思春期って怖い。
不安定と無知って過ちの卵。
この少年はきっと、いってみよう やってみよう精神。
どうなるのか、とりあえずやってみたかっただけ。
いいとか悪いとかは、分かっていない。
いや、普通は彼の年齢でハッキリわかるはずなんだけど。
リアルとゲームの世界があやふやになっちゃっているような感覚なんだろうか。
ここに、感情はない。
ただよう空気がずっと不気味。
そんなモンスターを作ってしまったペアレンツが本当のモンスターペアレンツだったりする。
なんだ、この世界。
と、見ている側には怒りを与えるのに彼らは素知らぬ顔。
実際に、こんな事件がありそうだと思ってしまう自分が一番怖い。
罪と罰は必ずしも比例しない。
私たちが思っている以上に、世間は不条理なのかもしれない。
見終わった後も、背中に冷たいものを残していくような絶望映画であった。
ちぶ~的絶望シネマ度5
どうしてこういう映画ばっかりなんだろう。監督の今までの人生を私は知りたいわ。