いちいち自分のことをアピールする人って余裕があるってことなんだろう。
本当に頑張るしかないときってそんなことをしてる場合じゃない。
別に誰のためでもない自分のために静かに努力するっていうだけで充分じゃないか。
特に仕事だとそれを誇示して評価されたいっていう人もいるのかもしれないけど。
所詮、何になれるっていうんだい?
なれたからって何だっていうんだい?
昇進して、お金をもらって...
だからなんなんだよ。
と、冷え切っている私は思う。
私はそんなことより、日々平和に好きなことをしていきたい。
だからこそ仕事をする。
誰にも気づかれなくてもいい。
この健闘に勲章は要りませんから。
と、「静かなる決闘」の三船さんみたいにカッコイイ声で言ってみました。
シネマパレにて鑑賞。
ここで上映しなければ、たとえ黒澤明監督作品でも私なら見なかっただろう。
いつもながらありがたい。
ヒューマンドラマであるが、思っていたよりもエグくはない。
思っていたよりも普通で思っていたよりも地味。
タイトル通り、静かである。
だけど、その静けさが見終わった後にこそじわじわとくる味わい深い作品。
誠実で爽やかな三船敏郎っていうのも珍しい。
冒頭の手術シーン。
大雨の中、青年医師である藤崎恭二(三船敏郎)がメスを握る。
雨漏りの音が緊張感を表現し、何かが起きそうな嫌な雰囲気を掻き立てる。
そして、それが予想通りに事件が起きる...
ぶっちゃけ、ワイルドすぎる執刀につっこみたくなりますが。
もう、連日連夜のオペ続きで色々と構っていられなかったのでしょう。
病というのは、油断や弱さからやってくる。
いつもならしないであろうことをしてしまって感染するというのは一理ある。
だけど、その代償が大きすぎた。
運が悪すぎたという一言では済まされない、後の苦しみと葛藤。
私なら....
と、思わずにはいられない。
もしくは、愛する人が...
と、考え込んでしまう。
見ている間は、静かすぎるので睡魔が私をつっつきましたが。
低音ボイスでなんだかカッチョエェ三船氏がどんどん不憫になっていくので退屈はしませんでした。
これは本能と理性の戦い。
しかも、男は狼ですから。
ラストで心の毒をぶちまける姿には納得しかできない。
そこには、メスを握っている医師はいない。
超オスなただの男の剥き出しな欲望。
不治の病のために愛をあきらめるしかなかった哀れな姿に胸を打たれる。
病は心まで毒していくのか。
それでも人の命を救おうとする男。
どうしてそこまでできるのか。
私は、お父ちゃんである志村喬氏が息子を語るセリフが人間らしくて好きでした。
聖人でも医師でもない。
やはり、不治の病を背負った普通の男だということ。
それが人間というもの。
まさに、静かなる決闘なのだと思いました。
ちぶ~的ダンディズム度5
外国人みたいなスタイルにファッション。とにかくダンディでかっこいい。それが崩れていくところがまたセクシーなのである。