ここはブラックホール。
出口なき世界。
時間も場所もすべてが渦巻いている。
良いのか悪いのか。
前進しているのか後退しているのか。
何も分からないからこそ何かを見つけようとしてどこかへ向かっていく。
それも当たり前のように...
終わりがないからこそ人は生きていける。
というか生きてゆくしかないわけで。
「アニー・ホール 」の恋愛物語も終わりが見えないのだ。
きっと今だから面白いと思えたんじゃないだろうか。
小ネタも映画をそこそこ見れているから理解できただろうし。
ウディ・アレンらしい語り口調に長ったらしいセリフ。
ファッションも映画のスタイルもお洒落に見えるのは彼の個性のおかげ。
ザ・ウディムービーの傑作。
人は、恋愛をすると話したくなる。
楽しい時は、ノロケ話をしてみたり。
うまくいかないときは、愚痴ってみたり。
あぁでもない、こうでもないとうるさくなる。
一人なら気にならないことも二人だと気になったり。
とにかく忙しい。
結局、赤の他人と付き合うということは自分の一部を削ぎ落としその分を相手に合わせなければうまくいかない。
ありのままでピタッと合えば幸運だけど、そんなことはめったにない。
この年になるとこのウディ演じたアルビーになぜか物凄い感情移入してしまうのだ。
心の中で猛烈なツッコミ。
相手に譲ることが負けた気がして本能と理性がケンカする。
そう、我慢とかもうできない。
若いころみたいに恋愛のことだけを考えて相手にばかり合わせるなんてことはありえない。
知識と経験が完璧な楯を作り、意地を張る。
強くもないのに強いフリをしてみたり。
言わなくてもいいことを言ってしまうのは、結局強くなったつもりでただ甘えられなくなった弱い人間に成り下がってしまったからだろうか。
恋愛にありがちな"不毛"さがたまらなく面白く描かれている。
恋愛は男側と女側では大きく違う。
男は過去に未練を持ち、女はあっさり未練を捨て未来を見据える。
きっと男はロマンチスト。
上手くいかなかった恋でさえ美化できるのは女に夢を持ちすぎているから。
女は現実的。
上手くいかなかったことには必ず原因と理由があることを知っている。
終わってから気づく本当の愛って、大抵男の方。
女は終わっている時点で興味がない。
バカだなぁと思いつつ、だから恋って楽しいのかと納得する。
男と女のかみ合わない関係に浪漫を抱く。
どんなことにも始まりがあれば終わりがある。
それでも恋を始めてしまうのは、ハッピーな感情は人間に不可欠なエネルギーの一つだからなのでしょう。
ちぶ~的ウディ節度5
そうそう。と、うなずいてしまう自分に焦る。危険すぎる。この男と同じ感覚になってはいけないと思いつつ、グイグイ感情移入してしまうのはウディのすごさだと思うのです。