別れも出会いもこの年になるとそこそこあった。
別れが来る人はいずれそうなる人だったであろう人にすぎないけれど。
やはり、その瞬間は寂しいものだ。
たまにふと思ったりする。
あの人、今どうしているんだろうか。
幸せにしているだろうか。
思い出がどんなに醜いモノでも時間が過ぎれば醜さは消えていく。
特に女性の場合は執着という糸が切れたらもう二度と結ぼうとは思わない生き物だからドライになれるのかもしれない。
「ある過去の行方」も過去に縛られているのは男性のように見えますね。
アスガー・ファルハディ監督作品が好き。
メロドラマにサスペンスを足して、お国事情を浮き彫りにする展開がツボ。
今回もそうであるが、今までに比べると恋愛色強め。
だから失笑し、イラついた。
男がいて女がいて。
家族がいて生活があって。
ある過去に隠された真実。
それはどこへ行ったのか。
そして、それは過去になるのか。
重く長い物語だけれど、最後まで掴んで離さない人間の深層心理が垣間見れて面白い。
この別れた妻マリー(ベレニス・ベジョ)が手ごわい。
全くかわいくない。(愛嬌がないと言う意味)
こんな女のどこがいいのかと阿呆な男たちに冒頭から納得がいかない。
巻き込まれた元夫アーマド(アリ・モサファ)も気の毒。
どんどん八の字眉毛になっていき、毛むくじゃらさが増していくようにみえる。
新しい男サミール(タハール・ラヒム)もちっとも魅力的じゃない。
なんだろう、この構図...
ダークでピリピリした空気。
お前ら、なんなんだよ。
と、思っているうちに事件が勃発。
ただの家族ドラマかと思ったら大間違い。
やはりアスガーなんです。
犯した罪。
許されない出来事。
でも、結局は男と女。
親と子。
変えられない愛情と絆。
過去があるからこそ今がある。
過去に苦しんでいるからこそ今も苦しみがある。
真実が何を与えるのか。
事実は真実なのか。
誰にも分からない。
誰のせいでもない。
そんな過去が彷徨う。
途方もない。
なさすぎる。
だからこそ人間は苦しみ続けるのかもしれない。
ちぶ~的女最恐度5
押されっぱなしの男子の面々。きれいな女こそ危険。喧嘩のシーンはまじで怖かった...