怒鳴り声が嫌い。
大きな物音が嫌い。
特に、それらが男性だともっと嫌い。
会社にもそんな奴がいる。
わざわざ大きい音を出して廊下を通ってドアを開ける奴がいる。
女子がいる前で部下を怒鳴ったり。
自分の存在を見せつけたいのだろうが....
私は、そんな男が嫌いを越えて怖く感じるのだ。
全くもって格好悪いのに、そんなことで自分を大きく見せようとするのだから下らない。
人を育てるのに恐怖はいらない。
仕事に雑音は必要ない。
と、地味OLは密かに毎日心の中で怒っている。
「トールマン」も怒っている。
あの胸糞悪鬼畜ホラー「マーターズ」 で有名になったフランスのパスカル・ロジェ監督作品。
また鬼畜系かと思い、スルーしていた。
が、ちょっと違う気がしたので鑑賞。
あれ。
鬼畜はどこへ。
まさかの社会派か。
思ってたよりも考えさせられた。
なんだ。
傑作とか衝撃作ではないけれど、このサスペンス・ミステリー要素はバッチグー。
寂れた町で起こる連続誘拐事件。
まるで、都市伝説な怪人トールマンと呼ばれる者に子供がさらわれる。
タイトルにするほどでっかい奴ではない。
スタバでコーヒーを飲むとき、絶対にトールサイズにはしない私にはそれでも威圧感は感じた。
謎が謎を呼び、どんでん返す。
と、なりたいところだったが勘のいい人なら冒頭で気づく。
が、これは犯人が誰かという事実は重要ではない。
なぜ、トールマンが子供をさらうのか。
真の正義とはなんなのか。
親が子を愛し、子が親を愛す。
それだけでいいとは言えない世の中。
子を持つ母親にとっては到底理解できないかもしれないが、全否定しきれない道理がなんとも皮肉だった。
子供は親を選べない。
環境も生まれたときに決まっている。
選択肢が存在しない。
子供の幸せは誰にも決められない。
本人でさえも。
不条理なのはトールマンだったのか、この世の中だったのか。
勇ましく犯人を追うジェシカ・ビール嬢に母性の執念を見た気がする。
そして、正解の見えない正解があったような気もする。
母は強い。
だけど、人間。
このラストはずっと考えてしまう。
もし、自分に子供がいたらなおさらかもしれない。
ちぶ~的サゲマン度5
ジェシカ・ビールの幸薄度がMAX。肉体は、ムチムチなのできっと顔で表現。女はメイクでこうも変わるのかと自分のメイク技術力のなさを嘆きたい。