冒頭からオシャレなシーンで始まる。
女が女を追い連なる。
女の敵は女なのか?
10人の女が愛した一人の男を取り巻く愛憎劇。
いや、これは愛なのだろうか。
と、黒い十人の女に囲まれる男を冷笑しながら思う。
女は最後まで女で男は最後まで男だ。
シュールで滑稽。
印象に残るシーンの数々。
市川崑監督のセンスに酔う。
一人の男をめぐり女が取り合う。
夫を演じた船越英二のおとぼけ顔にイラッとする。
反省の色などない。
男なんてそういう生き物だからしかたがないという、女には到底理解できない理屈を押し通そうとする。
こんな男がモテる。
現実もそんなもんじゃないかとリアルに点と点がつながる。
お金、地位、名誉。
女が持っていては重荷になるのに、男が持っていれば最強の武器になる。
つくづく女の性分というものにも嫌気がさしてくるのだ。
体裁だのプライドだの嫉妬がそこらへんに飛びちらかっている。
でも、この男女の愛憎劇はそういうところが面白い。
女に肩入れしすぎず男を美化しない。
どちらとも愚かなことには変わらない。
まぁ、女の私から見ても女はやっぱり狡猾で男より上手だから怖いんだが。
そもそもそんなことはわかりきっているのに女を怒らせる男が悪いとも思ってしまう。
まっすぐすぎる女の愛と不埒な男の愛。
でも、どちらも同じ愛。
そしてその愛が大きければ大きいほどその愛は傲慢すぎる自己愛に変わる。
本当の恐ろしさはそこにある。
愛は一つじゃないからややこしい。
そこに正解も不正解もないからたちが悪い。
シュールに切り込んだ可笑しさ。
私はそこにこそ男女のぴったりあうことのない矛盾が表れている気がしてならい。
これを見たら誰かを怖がらずに一途に愛せるか。
あーた、純粋な愛ってそう簡単にあるものじゃないってことざんしょ。
と諭されているいるようで.....
より一層、愛だの恋が分からなくなるのでありました。
ちぶ~的黒い女度5
表と裏では大違い。女にとって女はいつだってライバル。自分が一番にならないと気が済まない。それを決して表に出さないところがまた女らしい。