予備知識なしでみるべき作品とのことだったのであらすじも予告も見ずに挑んだ。
その判断は正しかった。
アフター・ウェディングは、自分の想像の範疇にあるアフター・ウェディングではなかった。
そして傑作。
ぜひ、これは見ていただきたい映画。
何を書いてもこの映画の面白さを半減させてしまいそうなので、映画を見る予定のある人はネタバレなしで書いていますが、ご注意ください。
解説....
2007年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたデンマーク映画。コペンハーゲンを舞台に、孤児たちの援助活動に従事する中年男性ヤコブと彼のが出会う家族をめぐる愛のドラマが展開する。監督は『しあわせな孤独』が高い評価を得た女性監督スザンネ・ビア。主人公のヤコブを『007/カジノ・ロワイヤル』の悪役マッツ・ミケルセンが演じる。人を愛する心とその裏にひそむ孤独、さらには家族の大切さを見つめた衝撃の展開は必見。(引用)
冒頭からこれはどういうことだと眉をひそめる。
私はちょっと感動するラブストーリーくらいのイメージを抱いていた。
表と裏。
別世界に見える世界が一つにつながる。
人は、自分が生まれる場所は選べない。
自分の運命は選択して進む。
結婚式の後。
物語はそこから始まる。
終わりが始まりのように。
デンマークという国は私にとっては思い出深い国である。
学生時代に研修旅行で一度行ったことがあるのだ。
デンマークは高福祉高負担国家で、高齢者福祉や児童福祉が充実している。
国民の所得格差が世界で最も小さく世界最高水準の社会福祉国家。
福祉の学校だったので勉強という名の旅行をしに行った。
街並みが美しく穏やか。
英語ではない聞きなれない言葉が飛び交う。
観光や福祉を知るという意味では最高の国。
福祉の面では確かにとても優れている。
が。
私はこの国で余生を送るなんてまっぴらごめんだと思って帰ってきたのである。
なぜなら、ご飯が激マズ...
ラザニアと思われるライスが不自然に砂糖をふりかけたであろう味付け。
ちゃぶ台だったらひっくり返しているくらいの料理。
何を食べてもそんな感じで求めているしょっぱさがない。
私はどれも口に合わず添えられているキャベツで2,3日過ごした。
あんなごはんを食べなければならないのなら年金がもらえないかもしれない日本でもいい。
私は、おいしいものを食べて死にたい。
その記憶が鮮明によみがえったデンマーク映画。
私的には福祉国家という背景からも見ることができて興味深かった。
お金があるかないか。
家族がいるかいないか。
社会的地位があるかどうか。
確かに生まれながらに持った運命からは逃げられない。
それが不公平と感じることもあるだろう。
だけど生きることと死ぬことは人間誰しもが平等に与えられた使命。
どうあがいて生を取り消すことはできず、どんなに逃げても死は必ずやってくる。
結婚するという選択も人生には大きな影響を及ぼす。
二つの世界から一つのものが見えてくる。
目のアップや曲線を強調させるような映像。
どこか淡白なのにどこか温かい。
目は口ほどに物を言うという。
まさに語らずして語りかけてくる画力。
この世界だって他人事ではない。
飯がまずかったことを根に持っててごめんなさい。
やっぱ、デンマークは福祉も映画もすげぇや。
ちぶ~的どっしり度5