時間ができたせいでさらに映画熱が加速。
劇場で映画を一日で4本ハシゴしたり、家でDVDを一日で6本鑑賞したり。
本屋に行けば映画の雑誌を立ち読みし、パソコンを開けば映画情報を追ってしまう。
おかげで前よりも記憶力が鈍くなった。
俳優の名前もタイトルも頭の中にはあるのに言葉にできない。
大量な情報を脳に入れすぎると脳はフリーズするのです。
10万人の観衆を呑み込んだプロフットボール・チャンピオンシップの競技場で発見されたライフル魔。市警察と特別狙撃隊SWATが対策を講じる最中、無差別射撃がついに始まった……。SWAT部隊と姿なき狙撃者の息詰まる攻防を描いたアクション・スリラー。
10万人の観客が人質。
何も知らない観客たちがライフル魔の餌食になる。
奮闘する刑事とSWAT部隊。
事件は現場で起きている。
シンプルでありがちなアクション・スリラーにギラリと光ったパニックシーンは見もの。
少々長い。
事が起きるまでがながすぎて退屈してしまった。
被害者となる観客たちの人物描写が希薄で大雑把すぎたかもしれない。
事件が起きるまでの過程に重さがあればラストとつながった時、より一層恐怖が増したのではないかと残念に思う。
が、それを抜けば上級のスリラーではなかろうか。
この人がいるおかげで現場は冷静さを失わずに済む。
SWATの隊長役のジョン・カサヴェテスとのやりとりがまたさらにいい。
お互い自分のプライドを決して捨てようとしない。
その信念の中に男が見える。
渋いからかっこいいのだ。
これは若造には出せない色気。
見ているうちにこの二人の部下の気持ちになってしまうから不思議だ。
怖いのはライフル魔だったのか。
逃げ惑う群衆の中にリアルな恐怖が生生しく伝わってくる。
「死にたくない」
たとえ、他人が死んだとしても。
「自分だけは絶対に死にたくない」
という無言の気迫がこの映画の本当の怖さではないだろうか。
まるで実際に起きた事件のVTRを見ているかのよう。
狂気には理由がない。
本能にも理由がない。
そんな容赦ないラストがずっしりと響いて、ひんやりとする後味を残すのであった。
ちぶ~的ナイスカメラワーク度5
さまざまな視点から映される事件。カメラワークがとにかく高度。今の映画のお手本になったのではないかと思われるものが多数。それだけでも見る価値はある。