ジムが終わってからだと帰りは、大体夜の八時過ぎ。
いくら明るくなってきたからといっても、さすがにこの時間は暗い。
夜道は平気なので音楽を聞きながらガンガン歩く。
それなりに交通量が多い道を歩くので怖くはない。
が。
この前、ちょうど人通りの少ないところで見知らぬ男性に声を掛けられた。
チャリをひきづって歩く男。
「自転車屋さんってどこですか?」
やたら愛想がいい。
昼だったらそれは爽やかに映っただろう。
しかし、夜道。
笑顔が怖い。
普通に教えてその場を立ち去ったけど。
妙に不気味に感じてしまい、何度も振り返りながら早歩きで帰った。
もし、また同じ人にまったく同じことを聞かれたら完全に怪談だと思う。
「怪談累が渕」のように、祟られる覚えはまったくないけども。
解説.....
旗本・深見新左衛門は借金のいざこざから座頭の皆川宗悦を殺すが、その怨霊によって自らも狂い死にする。そして20年後、それぞれの息子と娘・新吉と豊志賀は、互いの素性を知らぬまま恋に落ちる。だが豊志賀が不注意から顔にキズを負って以来、新吉の心は別の女性に移ってしまう。やがて、自分を捨てた新吉がかつての親の仇の息子であると知ったとき、豊志賀は二人を激しく呪ったまま息絶えるが……。原作は円朝の怪談咄「真景累が渕」。
怪談といえば中川信夫監督。
「東海道四谷怪談」よりも2年前に製作されたこの作品。
映像も白黒で画質も鮮明とは言えない。
それでも「東海道四谷怪談」の基礎を感じさせるスタートライン的要素満載。
古さが怖さを呼ぶ。
ここにしかない味がする怪談。
執念が恨みを、因縁が復讐を誘う。
昔の日本の家は危険がいっぱい。
ちょっとけがしただけで人生を奪われる勢い。
そもそも家には怨念が棲みついていたのかもしれない。
怪談というより女が怖い。
年増女の恋愛、なめんなよ。
と、友人に言われた一言を思い出す。
そして真の意味を理解する。
若い男に惚れると簡単に命を懸けてしまう。
ヘビーにもほどがある。
男は新しさと若さを求めがち。
女は永遠を信じている。
真実を知った時、愛が憎しみへ変わる。
恨みの跡を継ぐ。
死ぬまで、いや、死んでも終わらない。
すべてが男のせいでも女は女を憎む。
女の敵は女ではないのに。
女は女に勝ちたがる。
嫉妬という狂気。
女としてのプライド。
本当に醜くなったのはそれだけになってしまった虚しい心だったのです。
ちぶ~的化けて出る度5
簡単にみんな幽霊化。父ちゃんまでまた来ちゃう。カムバック父ちゃん。憎しみの連鎖は時代が変わっても終わらない。