時というのは待ってくれない。
流れるように過ぎていく。
だから人生の時間は一秒も無駄にできない。
どんな時間も無駄ではないともいえる。
人生って意外と特別なことは起きない。
この「流れる」のように。
でも。
だからこそ、その時間が人生の重要なカギを握っているのだ。
落ち目の女主人と芸者たち。
女主人の娘である勝代(高峰秀子)。
登場人物すべての視点で物語を見ると何通りもの人間模様を知ることができる。
劇的なことが起きない成瀬巳喜男(監督)もいいではないか。
やっぱりこの男は、"女"という生き物をよく熟知している。
最後まで油断できなかった。
女の世界に生きる女たち。
男に翻弄され、破滅に向かう。
それでも懲りずにまた男を信じ、求めてしまう愚か者。
それが女の性分。
女の敵は男なのか。
女なのか。
この世界には曲者がいっぱい。
そんな世界を優しく見守る女中のお春。
自分の意見を主張せず、礼儀正しく仕える彼女の目にはどう映っていたのか。
きっと我々と同じく、様々なことを感じ取っていたに違いない。
時間も人の心もずっと同じ場所には留まれない。
時間はいつも平等なはずなのに、時に残酷で無情にも思える。
哀愁漂うラスト。
まるで、サラサラとした風が吹いてくるようだった。
なんとも言葉にしにくい余韻が私は意外と好きだったのでありました。
ちぶ~的流れる度5
意外と地味であるのに、どんどんこの人間模様にハマる。あっという間に映画が終わって自分でもびっくりである。