私の地元は夕焼けが有名な海の近く。
家の近くにあるとありがたみはないんだけど、落ち込んでいるときはよく黄昏に行ったものだ。
オレンジ色に浮かぶ夕日が自分のブルーな心を少しは明るくしてくれる気がして。
でも、最後はなんだか切なくなる。
それが夕焼け。
でも、「東京暮色」はかなりの夕焼け具合に私も一緒に沈みそうでした...
本で紹介されていた、絶望シネマ。
いや、でもあの小津安二郎監督作品でしょう。
と、なめきっていた。
だって、私はこの作品が初小津。
勝手に小津監督はホームドラマの名手だと思っていたのだ。
いや、ホームドラマであることには違いないんだけど...
これ、怖すぎやしませんか。
ホラーは"家族"にもあるのですね。
自分が誰かの親になるとき、人は自分を余計に知りたくなるのかもしれない。
自分の存在意義。
自分の元はどこなのか。
そして、思う。
一体、私はなんのために生まれてきたんだろうと。
今まで信じてきた"理由"や"成り立ち"が揺らいだとき、一気に不信に陥る。
この家族は誰もがやや不幸顔である。
しかも幸せを装っている感じが不気味。
微笑みの影に苦労がチラリ。
何でもかんでもはっきり言ってしまう私にとって、こんな家族は地獄だ。
そう考えると、本当に言葉って大事だ。
例え家族でも会話がなければ成り立たないものの方が多い。
以心伝心って超能力者と宇宙人だけが確実にできる技なんだから。
「ハッキリいいなさいよ!」と、終始叫びたくなってウズウズした。
それができないのは人間の不器用さの成せる業か。
そこらへんのホラーを見るよりもずっと怖い。
最近見たバッドエンドのサスペンスより後味が悪い。
小津監督流ホラーはここにあり。
そして、私はこういう映画の方がやっぱり面白いです。
ちぶ~的緊迫度5
息が詰まるレベル。やだ、こんな娘。父ちゃんが居た堪れない....誰が悪いともいえないから余計につらい。