映画を見すぎて、タイトルや俳優の名前がなかなか出てこない。
きっと脳みそがキツキツ。
頭の中には浮かぶのに、口から出ない。
やっと言葉が出たと思ったらうまく言えなくてかむ。
かなり病的。
脳トレでもして脳みそを鍛えようか。
知識ばかりを詰め込んでも使わなければ腐ってしまう。
「キツツキと雨」は、そんな腐りかけている脳みそにぴかっと稲妻が走った。
あらすじは....
小さな山あいの村にやって来たゾンビ映画の撮影隊。なぜだか手伝うことになった木こりの克彦(役所広司)は、プレッシャーに弱く使えない新人監督の幸一(小栗旬)にイライラする。しかし、幸一は克彦との交流で自分を取り戻していき、二人のいい関係がイマイチかみ合わなかった撮影現場にも不思議な影響を与え始め……。
一人の田舎のおっさん。
いつもと変わり映えのない生活。
そんなある日、"映画”が侵入する。
気弱な新人監督と真面目で堅物なオヤジ。
出会いは突然で必然。
雨は降ればいつかは晴れる。
当たり前だけど当たり前じゃない。
縁が人をつなげていく。
人は一人では生きていけない。
いや、生きていない。
クスっと笑えてウルっと涙が出る。
見終わった後も心がポカポカでルンルン。
言っちゃいます。
こりゃぁ、間違いなく傑作やっ!
役所広司という俳優は日本の宝だ。
この男は化け物。
大俳優が田舎の木こり役。
そこらへんにいるオヤジにしか見えない。
大物になればなるほど引き算の演技が難しいはずなのに、この人は何でもサラッとこなす。
田舎弁と田舎人のしぐさが完璧。
田舎生まれの田舎育ちの私が見ても違和感なし。
演じた克彦宅の田舎アイテムも、昔自分の家にあったものばかり。
懐かしくなってそれだけでも顔がほころぶ。
バカ息子演じた高良健吾がまたいい。
男親の不器用な愛情。
息子の偏屈な反抗。
昔は、どこにでも溢れていたあるあるが愛おしくてしょうがない。
そんな克彦が出会う新人監督は、逃げたくてしょうがない現実でもがいている。
自分を出せない苦痛が伝わってくる。
イケメンを押さえて演じた小栗旬を見直した。
この人は気取らない方が面白い。
そもそもイケメンではなかったことを思い出した。
ちゃんと引き立てるということも覚えた俳優はこれから強いだろう。
個人的にツボだった山崎努。
チョイ役なのに強烈な笑いを誘う。
大真面目だから大笑い。
これを演じてみせる器の広さ。
やっぱりこの人は名優だ。
ゾンビ映画を手伝う。
そんな光栄なことはない。
と、思うのはホラー好きくらいかもしれない。
田舎の木こりのおっさんには、その面白さが全く分からない。
ほぼ強制的に巻き込まれる様がおかしくて腹が筋肉痛になる予感。
ほんのちょっとだけ関わったことで始まる興味。
映画の面白さにハマる瞬間。
続きが気になって仕方がなくてワクワクする気持ち。
分かる分かるとうなづいてしまう。
映画と人生は似ている。
自分だけでは何もできない。
だけど、自分じゃなければ意味がない。
人を知って人と心を通わせる。
そうやって作っていく人生。
それは、年齢も経験も関係ない無差別な中にある。
出会いのきっかけが一つの映画になる。
その過程が爽快。
過剰さが全くないからこそじわじわと心に沁み込んでくる。
自然に、笑う。
そして、泣く場所ではないはずなのに涙が止まらない。
こんな映画はきっと死ぬまで何本も見ることができないだろう。
人も映画も出会いで出来ている。
この作品は、年齢も性別も選ばない。
もし、まだ見ていない方はぜひご覧ください。
ゾンビのように人は簡単に死なない。
弱いようでしぶとい。
人生は長くまだまだ続くのです。
この映画を見て、映画を愛し人を愛しましょう。
ちぶ~的ゾンビ~度5
みんなでつくるゾンビ映画ができる過程がたまらない!役所ゾンビは最高すぎる!!見終わるのがもったいないくらいの出来!!