その小さな親切が怖いってことありませんか。
きっといい人なだけなのかもしれませんが、普段ないことをされると疑ってしまいます。
たとえば、わざわざドアをあけておいてくれたり。
落ちましたよと結構離れたところから追いかけて渡してくれたり。
その親切はありがたいんだけど、そこまでするかなっていうとき。
ホラーの見すぎかもしれないと反省するのですが、どうしても不気味に感じます。
しかも、そういう人に限ってにこやか。
その微笑みの下に隠された本性とはいったい!?
と、妄想して怖くなる。
解説.....
花屋の店員シーモアはある日、宇宙からやってきた奇妙な植物と巡り会う。その植物オードリー2のお蔭で店は大評判。だが、オードリー2は、人の生き血で育つ食人植物だった……。食人植物に翻弄される気の弱い青年、シーモアの恐怖の体験をコミカルに描いた、ロジャー・コーマンの傑作「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」。それをミュージカル化して大当たりとなった舞台劇の映画化。
植物ホラーコメディ。
ミュージカルだとは知らなくていきなり歌いだしたのでびっくり。
苦手なミュージカルと大好きなホラー調が私を惑わせる。
殺人シーンですらポップで明るい楽しさは病み付きになりそう。
だけど、ギャグでもあの歯医者のシーンは笑えません...
世間は今、 「現代のベートーベン」と称される全ろうの人気作曲家・佐村河内守のゴーストライター事件で賑わっている。
しかも全ろうでもない疑惑。
結局、芸術の価値なんてそんなものなのだろうか。
作品よりも作曲家のストーリーのインパクトが評価を大きく変えてしまった結果である。
疑問にも思わずに賞賛していた人たちは、きっと全ろうの障害者という側面から見て曲を評価してしまったのではないか。
ビックネームがなければ、世に知られることもなかったのかもしれない"名曲"。
なんとも皮肉な話である。
この事件とこの映画が重なって見えた。
オードリー2のおかげで店が大繁盛し、有名人になっていった気弱な青年シーモア。
そのかわり、オードリー2に人の生き血を調達するはめになるという恐ろしい代償。
一度得てしまった地位や名声、お金を手放すことができなくなってしまう愚かさ。
男性は女の子にいい格好をしたいというところからきている気がするが、見栄はいずれ張れば張るほど後に大きな代償として返ってくるだけだ。
サドの歯医者がとにかく強烈で思わず頬をさすりたくなる。
痛みを与えることで快感を覚えるドS変態野郎。
まったく笑えないが、この男の方がわかりやすくて素直で自分に正直に生きている。
自分に正直でいることが簡単なようで難しい。
さらに、メディアにどんどん作りこまれてしまった佐村河内守の影でお金ではない自分の価値を誇示したくなったのだろう。
どんな形であれ作品に罪はない。
シーモアのように世界で一番無様でかっこ悪いと思っている自分でも愛している人がたった一人でもいてくれればそれでいい。
それに気付けたら、罪を重ねることをやめれたのにと残念でなりません。
ちぶ~的ブラックシークレット度5
みんなに求められている自分を守るために死体まで調達しちゃう。キャラづくりをしないといけない自分って悲しすぎるよね~。