
この日は2本連続で鑑賞したわけですが、2本目が「人情紙風船」。
一本目は隣におっさんがいて、なんだか窮屈だった。
シネマパレでは、「人情紙風船」を静かにゆっくり鑑賞。
とても贅沢な気分で、しっとりと。
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って思ってみたらびっくらこいた。
私、"人情"ってやつをなめてましたわ....
山中貞雄監督の遺作。
28歳で戦病死。
コレを20代で撮っていたという衝撃...
戦争ってここまで人を生き急がせるのか。
おじいちゃんくらいの人が撮っててもおかしくない。
こんな"人情"だとは思いもしなかった。
圧倒された!
とは、こういう映画を観たときに使う言葉だと気づいた。
山中貞雄監督は、手記に「紙風船が遺作とはチト、サビシイ」と書き残したそうだ。
いや、チトどころではない。
相当である。
怖いんである。
もう、見終わった後は紙風船のように飛んでいきたくなる...
貧乏な長屋で暮らす住人達。
誰だって一人では生きていけない。
互いに支え合い、協力しながらも懸命に生活をしていくしかない。
頑張っても生まれながらに決められてしまっている運命からは逃げられなくて。
"人情"にすがってでもご飯は食べなくてはならない。
絶望が迫ってくる緊張感にひやひやする。
どの時代も世の中は残酷である。
そして、不公平なのだ。
義理や人情ですら無力。
そんな八方ふさがりな人生。
なにもかもが自分の望みどおりにはいかない恐怖。
タイトルから与えられるイメージと全く違う。
違いすぎてぽっか~んとなる。
人情ってなんだ。
人生ってなんだ。
誰もが分かっていない。
紙風船が語るラスト。
こりゃ....
チト怖し。
ちぶ~的大雨効果度5
雨ってドラマティックね。あの遠い目の奥には雨さえ映っていない。どのカットも印象的。この若さでこれを作ってしまうなんてスゴすぎです!