むか~しは泳げたんですよ。
が、高校生くらいの時から泳ぎ方が分からなくなって水泳の時間が大嫌いだったんですよね。
全く泳げないわけではないんですけど...
今でもたまに学校のプールの授業が嫌でたまらないという夢を見るほどです。
海の近くで生まれましたが海水浴にわざわざ好んで行く人の気がしれなかった。
私は入るより見る方が好きなんです。
だから、「泳ぐひと」も最初は気持ちよさそうだなぁって感じで観てたんですが...
たまたま見つけたこの作品。
アメリカン・ニューシネマの代表作だったらしい。
ある日、海パン一丁の男が現れる。
どういう人物なのか。
なぜ、プールを渡って行くのか。
説明がないまま進んでいく。
一体、この男は何者なのか。
素晴らしい脚本に唸り、ラストに心を打たれその衝撃からまだ抜け出せていない。
驚いた。
ある男を演じたバート・ランカスターは、ずっと海パン一丁なのだ。
まさにいい男なんだけど、理由も目的も分からないこの男に私はどんどん恐怖さえ感じていった。
ブルーアイズとプールの中で光る青い水がシンクロする。
青く澄んでいるからこそ見えるもの。
この男が目指したもの。
それはラストで一気に食らう。
なんて洒落た抽象的表現。
どんな人でも陥る可能性がある。
愛は、お金は、名誉は...
人生の意味。
ただプールを渡って泳いでいくおっさんの映像を見せられているのに。
ここまで観る者を考えさせるパワーはわざわざ言葉にしないからこそ生まれてくるのかもしれない。
人生はギャンブルだ。
常に何かを選択し、進んでいくしかない。
それが正解かどうかはその時分かることもあれば死ぬまで分からないこともある。
人間の価値はどこで判断するのか。
お金、名誉、仕事、友人の数等々。
そんなものに執着すればするほど本来の自分を忘れる。
シンプルな価値を誇りに思えなければ劣等感で自分を苦しめるだけ。
裸一貫の自分。
人生は水の中を泳ぐようにあてもなく果てしない。
結局、人は一人なんだと噛みしめる。
一人だから一人では生きれないんだと思い知る。
まだ、1月だけど...
これは傑作。
95分で人生を見直しましょう。
ちぶ~的スイースイー度5
この作品を撮るために泳ぐ練習をしたのだろうかと思うほど、フォームがきれい。中年のはずだけど肉体は美です!